第七話 猿を食べる旅


jetです☆

今年1月にshingoに年賀状をくだすった皆様には、ようやく先日shingoからお返しの『猿を食べるバージョン年賀状』が届けられた模様ですが、そうです、今回は、大変お待たせ致しました、干支プロジェクツ第3弾「申」のストーリーです。


第一部 延長戦の開始 

2003年末、shingoは悩んでいた。
今年の年賀状のターゲットは申(猿)。馬→羊→ときた干支食べ12年計画の最初の山場である。
どこで猿を食べるか・・。
とりあえず、仕事を共にするメディアの人たちなら何らかの情報網があるかと思い、
初対面でも「猿食べたいんすけど・・」と切り出し、 変態と思われながら細々とリサーチ活動を続けていた。

するとある日とある出版社の女性が言った。
「私の実家、四国で食べれるよ」
意外なところからラクな案が飛び出た。

「4~5人からの予約で
20万円
20万!?バカげてる・・でも5人集めれば1人4万。外国に食べに行くよりは安いか・・
とりあえず具体的なことは分からないから調べてくれるという。
ありがたい、よろしくお願いします。

そしてそのまま2003年は終わった。
その人物の友人が情報のソースだったようだが、結局分からずじまいだったようだ。
「友達の友達」・・最も不確定な存在である。
おそらくその四国ネタはマタギによる所謂ゲームミートであって、たまたま猟で捕れた猿を食べたという話であろう。
当然 この責任は彼女ではなく、うつつを抜かし、うかれて年末を過ごしたshingoにこそあった。
「メールある現代だからこそ年賀状書こうぜ」提唱者のshingoはその張本人が年賀状を出さないという罪悪感に苛まれた。
しかし一方でこの展開は、shingoが半ば確信犯的に招いたものでもあった。
つまりshingoは年賀状の準備を始めた年末からでは猿を食べるのは無理だと内心サジを投げていたのであり、
年明けてから時間をたっぷり使って猿を攻略しようとどこかで考えていたのである。
「2004年の年賀状は、2004年内に出せばアリ」
それは、1月3日、皇居の一般参賀に一人で赴いた男が勝手に決めたニッポンの新しいルールであった。


第二部 中国という都市伝説

日本でも江戸時代あたりまではゲテモノ食いとして猿を食していたという記録がある。
しかしながら今の日本で、もし食べることができるとしたらゲームミートであろう。
四国やら東北やら長野で、猟師さんがたまたま捕っちゃいました的な
偶然に賭ける。これは非効率だ。
となると当然視野は海外へ向く。

「猿を食べれる場所って知ってる?」
そう質問すると大方の人が決まって「中国」と答える。
その理由は具体的なものではない。
イメージ、中国人は何でも食べる、というイメージだ。

しかしながら中国では現在、猿を食べることは違法である。
熊もだ。あの有名な熊の手も違法である。
さすがにワシントン条約に代表されるような世界の潮流に中国も従っているのである。
実際、中国人留学生に「猿食べるんだよね?」なんて聞くことは大変失礼な行為なのだ。
とはいえ、それでも中国では猿を食べてる気がする。
何故なら中国はデカイからだ。何かあるはず。
それが都市伝説を生む。
shingoはネット上で、「上海で猿を食べました。」みたいな書き込みを見つけると即刻メールして詳しく質問した。
すると 「猿じゃなかったかも・・」と返事が来たり、
「食べた店の場所、思い出してみます」とか返事が来たキリ返事が無かったりした。
まさしくこういった人々が都市伝説を生んでいた。

しかし、それでもshingoは中国で食べれると考えていた。
何故ならこれまで幾度か行った中国で、そのはちゃめちゃぶりを体感してきたからであった。
都市伝説に惑わされぬよう、情報を取捨選択していくと幾つか候補はあった。
あまりにも情報が少なくピンポイントで行かざるをえないような村は除外するとして、
猿を食べるという目的の成功確率が一番高い地、
それは餃子の王将のCMでもお馴染み、「食は広州にあり」の広州であった。

中国人は何でも食べるというイメージは間違いである。
正しくは、「広州の人々は昔から何でも食べてきた」だ。
有名な 、「四足のものはテーブル以外何でも食べる」というのはまさにこのエリア。
実際、リサーチを進めるとすぐに、あった。
違法になってからも猿は食べられていた。
その料理の名は野味鍋。

猿の料理と言うとセンセーショナルな猿の脳味噌が有名だ。
有名になったのはインディージョーンズの2作目 『インディ・ジョーンズ魔宮の伝説』でのあのシーンだ。
生きたままの猿の頭蓋骨を開けると、猿は脳内麻薬でぐったりする。(ランナーズハイのような状態。)
その、脳内麻薬たっぷりの脳味噌を食べると身体に効くと信じられてきた。
医食同源的な発想だ。

野味鍋も同様に医食同源的な発想である。
風邪で身体を壊しやすい冬は、野生動物のたんぱく質を採ることで身体に効くと信じられてきたのだ。

しかしこの「冬」というのがポイントであった。
ちょうど昨年の2003年初頭、中国、冬というキーワードで思い出すものはないか?
そう、SARS である。
ご存知の通り、 SARSはいまだその感染原因がはっきりしていないが、一番有力な説が、野生動物からの感染と言われている。
その動物は、 ほとんどがハクビシンであると言われているが、その次に感染経路として問題視されているのが猿なのである。
事実、SARS発症患者は中国では広州がダントツに多かった。
当然、その 影響は確実に野味鍋屋台に及び、 SARSが問題となった2003年の冬には、中国政府がメンツをかけて、野味鍋の具からハクビシンと猿を消し去っていた。

タイミング的にはまさにその翌年の2004年冬である。
SARSは昨年ほどの勢いはなく、今年は広州で指折り数えるほどしかSARS患者は出ていない。
とはいえさすがに一年しか経過していない状況では、野味鍋で猿を食べることはできないのではないだろうか。
shingoは広州に住む日本人のサイト、例えば広州日本人商工会にまで片っ端からメールを送り、現地のリサーチをした。
しかしながら最新の情報で、猿を食べられるという確証は得られなかった。
やはり 「最近は見ないですね」というリアクションが大部分なのであった。
とはいえ、例えば東京に住んでいる人に「おいしいラーメン屋は?」と聞いて、「山頭火」と答えてしまう人もいるわけだし、広州に住んでいるからといって広州中の状況を把握しているわけでは当然ない。

もはや行ってみるしかなかった。
都市伝説にはウンザリしていたが、それでもそこは中国だ。
きっと何かある。
shingoは有休と週末を利用し、広州に直接赴くことに決めた。



第三部 広州に現れたリーベンレン

広州に舞い降りたshingoがまず目指したのは『知青第一村』という店だ。
歴史あるその店では、野生動物の鍋を食わせてくれるという。
バスを乗り継ぎようやく辿りついたその店は、威厳ある風格の漂う巨大レストランであった。
足を踏み入れると、1階にはキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!とばかりに、野生動物を入れたオリが 置かれている。

謎の鳥類に爬虫類(アルマジロまでも!)、これを鍋に入れてヤツラは食すのだ。
しかしここに猿の入れられたオリは置かれていない。別の場所だろうか。
1階にいた笑顔の公安(中国のポリス)が指差す、2階のレストラン入り口に向かい階段を登ると、2人のシャオジェー(「小姐」。娘さん。)。
見慣れないリーベンレン(日本人)に、2人は訝しげな表情を見せた。
中国では英語はほぼ通じない。ましてこのようなネイティブチャイニーズしか行かないような店ではなおさらだ。
こんな中国でshingoが中国人とコミニュケーションする方法はもちろん筆談である。
そこでshingoは、事前に調べておいた、「猿」の中国語、
猴子という文字を書いた紙を見せた。
そして「食べたい」というジェスチャー(箸を掴んだような手を口元に動かす動作)をした。
するとシャオジェーは、「あー」と理解したような声を出し、すぐに即答で
メイヨー
(「没有」。ないよ。)と言い放った。

shingoには信じられなかった。
中国の広州、しかも中心部から離れた地、しかもこんないかにもで怪しげな店、なのに猿がない?
そんなバカな・・
状況を飲み込めないshingoは眉間に皺をよせながらジェスチャーを繰り返した。
上空から見る限り、この男もバカであった。
シャオジェーは困った顔で顔を横に振るばかりであった。
事前リサーチした広州の猿食いポイントとしては、あとは屋台しか残されていない。
この店は、場所も店名もはっきりしていたため、shingo的にはホントはこの店で決めたかった。
しかし猿は無かった。
やはり政府高官が来そうなくらいマトモな店には、違法な猿は置いてない、ということだろうか。
考えてみれば当たり前のことなのかもしれない。

次にshingoが向かったのは、芳村と呼ばれる、地鉄「花地湾」駅そばの街路一帯である。
ただしshingoが得ることのできた情報はこの「芳村」という地名、1単語のみであった。
駅中心に360度方向のすべてをくまなく歩く。
するとあった。
時刻 は夕方。沿道のたくさんの店が、外にテーブルやイスやコンロを出し始め、まさにディナー客向けに準備をし始めたのだ。
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!野味鍋屋台!
まさにここがSARS発症の地であろう。
店前の看板には鍋の種類が書かれていた。
 
看板には、普通の家畜はもちろん、ロバ、ウサギ、猫の文字が見える。
他の店の看板には犬の文字も。
店脇のオリには、野生動物が満載で、猫のオリには「老猫」の文字。「老」に萎えるが、それが身体に効くと信じられているのであろうか。
しかしやはりハクビシンはもちろんのこと、猿の文字・姿は見えない。
とはいえここは庶民的な屋台街だ。
違法なので姿は見えないが、きっと猿鍋はあるはずだ!
再びshingoは動いた。例の「猴子」と書かれた紙を見せながらお得意のジェスチャーだ。
shingoを客と見ると、店員は笑顔で出迎えるものの、紙を見るとshingoを野蛮人を見るような目で見、メイヨーと答える始末。
3店舗ほど、同じアプローチを繰り返したものの、すべて玉砕した。
中には店を経営する家族全員が怯えながら出てきてしまう店も。。
この男は再び大戦における日本人=野蛮人のイメージをここ広州にて呼び起こしているのではないか・・
jet的には、昨年11月に起きた西安の日本人留学生寸劇事件が頭をよぎったが、そんな心配はよそに、打ちひしがれた
shingoは密やかに姿を消した。
帰国前日、漢方薬屋を回り、猿を使った漢方薬「猿頭霜」で妥協しようと探すも、それすら発見することができないのであった。 



第四部 目的のある旅

日本に帰ったshingoは当然のことながらプロジェクトの大幅な見直しを迫られた。
猿を食べることは中国では違法である。shingo自身、振り回されぬようにと自覚しながらも、中国の都市伝説をどこかで信じ、広州に行けば何とかなるのではという考えにとりつかれていたのであった。
もちろん、きっと食べる方法はあるのだろう。
しかしそれは随分と山奥の田舎であったり、 お金持ちが何日か前から予約して店側が猿を用意しておくような、 ふらり旅短期間滞在日本人パッカーにはハードルが高いものに違いなかった。
インターネットは使えない。
shingoが欲しがるようなマニアック情報はネットでは手に入らないことが常だった。
メディアの友人・知人からも有力な情報は得られなかった。
ちょっとした情報にはすぐに飛びついた。
・横浜中華街で実は世界中の食材が裏で取引されているという情報→方法が、中華街の高級クラブのママから情報を仕入れろというもので、眉唾な上に時間と金がかかる。
・長野のとある店→場所に繋がる情報得られず。
・大阪の新地にあるゲテモノ料理屋→猿はなし。
・ゲームミート通販→カンガルーやワニ止まり。
・ブータンの少数民族→そのソース以外に立証するものなし。
そうこうしている中、可能性を感じたのはゲテモノ食いに詳しい大学教授である小泉武夫氏が書いた著書だった。
その著書に掲載されていたのは、カンボジアの市場で薬用で売られている干し猿の写真であり、場所も撮影された時期もshingoがわざわざ赴くには曖昧なものであったが、shingoの中では「落ちてる情報を行きあたりばったりで探す」のではなく、ピンポイントで「専門家に聞く方が早い」という当たり前の判断に至るきっかけとなった。
webによる情報の中で、コンゴ(ザイール)で5年ほど前に猿の燻製(マカコ)を食した、という記述があった。
コンゴはアフリカの中のアフリカと言われており、ゲームミートを数多く食べる。動物はほぼすべてと言ってもいい。
しかし猿はどうか・・。何故ならまさにエボラ出血熱はこのエリアの猿食いが感染源であったからだ。
HIVといいSARSといいエボラといい、この現代に生まれた恐ろしき疾病は猿から来ていた。
ダーウィンの進化論が正しいとするならば、先祖である猿を殺し食うという自然破壊のモストな行為が、神を怒らせたのかもしれない。
つまり、shingoは神と闘っているのだ!
この情報が現在でも通用するものか、という裏を取るために、専門家→バックパッカーの先輩で、アフリカに精通しているT氏にメールを送った。
送られてきたメールの内容にshingoは死ぬほど興奮した。
「コンゴ(民主共和国)のキンシャサは猿を出すレストランがあり、場所も覚えてるよ。カメルーンでも市場で見たな。ただ、コンゴは旅しにくいけどね」
ようやく本物の情報に出会えた気がした。 さすが専門家は違う。
早速shingoは夏休みはアフリカに行こうと決めた。
慶応大学近くにあるアフリカ旅専門の旅行代理店「道祖神」。
いかにもアフリカ好きな風貌の女性スタッフに「コンゴに行きたい」と告げると、「向こうに親戚・友達でもいるの?」と聞かれた。
「いえ、猿を食べたいんです」と答えると、「バカげてる」と一蹴された。
shingoも、コンゴに関して、キンシャサが危険度2、他地域が危険度5、街中を歩くと10分おきにポリスにワイロを求められたり、土日の昼以降は危険だから歩かないほうがよかったり、空港での職員からのワイロ請求も激しいためキンシャサ対岸の隣国コンゴ共和国(紛らわしい)のブラザビルから船で入国したほうが早かったり、などキンシャサのことはいくらか知っていた。
日本から飛行機も出ている。
でも利益よりも人命なのか、アフリカ旅行の専門家はshingoにやめておけ、と言うのだ。
ではせめてカメルーンの市場で猿を買い、ユースのキッチンで自分で料理して食うか・・
shingoが今度はカメルーン行きを彼女に相談すると、
その遠さや発着便の関係で、10日の休暇でも実質カメルーン滞在は4日ほど、なのに30万円という恐ろしい数字が・・
女性スタッフ「そんなに猿を食べたいの?」
shingo「・・・!!」
女性スタッフ「おいしいの?」
shingo「いや、ホントは猿を食べたくはないのです。」
女性スタッフ「では何故?」
shingo「食べたくはないけれど、ここまできたら、今でも世界のどこかで猿を食べることができるんだ、っていう事実は確認したいんです。」
コンゴのレストランはshingoにとって世界で唯一確実に猿を食べることのできる地であった。
それを失ったのである。
しかしshingoは楽しかった。
何故ならshingoがしているのは「目的のある旅」だったからだ。
shingoはこれまで当ての無い旅をしてきた。それこそがshingoの愛した自由であった。
もちろんその地その地で何を観たいとか何を食べたいとかいうレベルの目的はあったかもしれない。
しかし実のところは「旅自体」が目的であったのだ。そんな旅が今でも一番好きだ。
だが今回のプロジェクトは違った。旅はあくまで手段である。目的は猿なのだ。
目的を持つと、達成できない苦しみを味わう。広州はまさにそうだった。
だが非常にスペシャルで濃密な、贅沢な旅だった。初めての感覚だった。

目的のある旅も悪くなかった。 



第五部 ラストディスティネーション

また振り出しである。
頼るべきは、T氏のようなパッカーしかいなかった。
彼らこそが生で最新の世界を見ていて、そしてその情報を日本語を使って同胞のパッカーであるshingoに教えてくれる。
そこで、パッカーにとってはお馴染みの「旅行人」掲示板にshingoはあるスレッドを立てた。
猿を食べる習慣がある地域・民族を教えて下さい。

1 名前:プラネタリウム 投稿日:2004/08/05(木) 16:24:03
はじめて書き込ませていただきます。
わたくし、現在大学四年生で卒論制作真っ最中なのですが、
テーマを食文化として書き進めております。

人類が、いわゆる家畜(鶏・豚・牛・・)以外のどのような動物から動物性蛋白質を
摂取しているかを現在調査中なのですが、
この夏休みを利用して、ヒトにとって特別な動物である「猿」を現在食べている国に
直接赴いてフィールドワークをしようと考えています。

アフリカや中国など、ある程度自分なりにリサーチはしているのですが、
具体的な地域、はたまた店、というレベルまでは特定できておりません。
※「猿を食べる」ということに関する情報は、都市伝説的なデマが多いのも事実であり、
  情報収集に苦慮しております。

何卒、皆様のお力添え、お待ち致しております!!
学生という設定にしたのは、これまであまりにもストレートに「猿食べたい」と言い過ぎて気味悪がられた反省によるものである。
jetが読む限り、これも相当うさんくさい内容であるが、
何と、さすがは旅行人!優しき旅人!
具体的な情報が次々と書き込まれた!

2 名前:noeru 投稿日:2004/08/05(木) 17:11:40
中国では、食べられてると思います。
以前広州に行った際、食用として売られてましたし、
今年の春、猿を食べるとエイズに感染するので食べないように。
という新聞記事を見ました。(まじめな新聞です)
江南地区の新聞だったと記憶してますが、、、、

3 名前:プラネタリウム 投稿日:2004/08/05(木) 22:52:13
お返事ありがとうございます!
実は広州にはこの3月に行きました。
しかしながら実は猿を食べること自体が近年違法になったことと、
SARSの影響で野生動物への取締がキツくなったことから、
全くもって街からは姿を消していました。
いわゆる冬の庶民の味、「野味鍋」狙いだったのですが・・

5 名前:rin 投稿日:2004/08/06(金) 02:23:42
新宿にあるこのお店では【豚の脳みその炒め】が食べられるんだけど、
http://gk.cool.ne.jp/shanghai/
他にもいろいろ作ってくれるみたいだしお店に聞いてみたら何かわかるかも。

6 名前:6 投稿日:2004/08/06(金) 05:02:40
数年前のニュースだったと思いますが、
アフリカ中部(ザイールとかコンゴあたり)に住むある民族が
サルを捕まえてみんなで食べたら、しばらくして
村人のほとんどが亡くなったそうです。
エボラ出血熱が野生のサルから、と言われる前後の出来事だったと思います。

7 名前:サンチャイ 投稿日:2004/08/06(金) 14:53:24
こんにちは。約1年前にミャンマーのバガンで聞いた話です。
話の主はミャンマー人の男性で、日本語はかなりうまいです。
猿は、中国との国境付近で食べられてるようです。
食べてるのは中国人で、それも脳みそ、しかも生!珍味のようです。
なんでも脳を食べると頭がよくなるとか。
場所は聞いていませんが、ミャンマーのモンラーをあたってみてはどうでしょう?
タイから陸路で行けますし、カジノがあって金持ち中国人がいっぱい集まってるようです。
金の集まる所は、いろいろあると思います。
モンラーは、ミャンマー国内であっても中国元しか通用しないと聞いています。
参考なればと思います。
余談ですが、死体をうなぎに食わせて、
そのうなぎを食べる人たちの話も彼から聞いております。それでは。

8 名前:元執筆者 投稿日:2004/08/07(土) 01:43:22
タイ北部の山岳民族の村で猿を食べました。
村で猿が食べたいとリクエストして下さい。
場所は下のURLの中にある地図を見て下さい。
地図上部のPangmapha周辺の村です。
猿の脳ミソですが量的にはほんのわずかでした。
あの頭のサイズですから仕方ないです。
あとは自分で調べて自己責任で食べること。
http://www.athailand.com/mf/_Fr/_Se/MaeHongSon.htm

9 名前:まーくん 投稿日:2004/08/08(日) 17:20:45
>>8 これは最近でしょうか?いくらくらいでしょうか?
また、行くにはバイクで行けますよね?貴重な情報で面白そうです。

10 名前:鳩 投稿日:2004/08/09(月) 12:22:43
以前(93~95年頃かな?正確な年数は覚えていないんだけど)
『NEWS WEEK』で食用猿肉についての記事を読んだことがあります。
確か、アフリカ(ザイールだったかも)では猿を食べることによって
新たな病気に感染するとかって内容だったと思います。
今度図書館に行く機会があったら詳しい号を調べてみようと思います。
これもずいぶん前の話なんですが、
タイ中部~北部の市場に行ったときに猿が売られているのを
目撃したことがあります。
私は少しためらいがあり食べなかったんだけど。
あまいな情報で申し訳ないんだけど、
卒論がんばって下さい。

11 名前:片岡恭子 投稿日:2004/08/10(火) 08:50:24
ペルーやボリビアのアマゾンに住んでいる人々は、猿を焼いて食べます。
猿はあまりに人間と遺伝子が似ているため、猿の持っている病気がうつる可能性が大です。
食べずにすむものなら食べないほうがいいですよ。

12 名前:プラネタリウム 投稿日:2004/08/10(火) 10:17:19
みなさん!
たくさんの情報、感謝感激です!
>5
早速上海小吃にも行って参りました。
豚の脳みそだけでなく、犬鍋や鳥の血の煮こごり、タガメなど、
店のある場所自体もそうですが、都会のど真ん中に中国?な佇まいの店でした。
猿情報は得られませんでしたが、新しい発見でした、ありがとうございます。
>7>8>11
大変具体的な情報ありがとうございます。
かなり具体的な情報でしたので、夏に直接赴くとしたら、
モンラー &タイで組み合わせるのが現実的でしょうね!
個人的にリサーチしている他の場所としましては、
・中部アフリカ(コンゴ民主共和国など)
  ※確実に食べる習慣があり、キンシャサには市場やレストランでも猿が見られる。
・ブータン
  ※ドォーヤ族という山岳民族に習慣があり。
>4>6>10>11
そうなんですよね、SARSにしてもエボラにしても
猿を食べることから最新の凶悪な病気はきています。
何か意味があるんじゃないか、と思ってしまいますね。
私自身はあくまで書くのが目的で食べるのが目的ではありません、
ご心配ありがとうございます☆

13 名前:片岡恭子 投稿日:2004/08/12(木) 15:49:54
今フィリピンに滞在中なのですが、昨日たまたま在住者と話していたところ、猿の生脳みそを20年ほど前に香港で食べたことがあるという話が出ました。香港はフィリピンからヤシザルを輸入しており、頭蓋骨を切除したヤシザルをむき出しになった脳みそだけが外に出るようにした木箱に入れて出すのだそうです。木のさじを脳に挿し入れると脳の表面がぶるっと震え、それで猿が死んだことがわかるのだそうです。今でも香港で猿を食べているかどうかは不明です。その猿の脳みそを食べた人は、数年前にやはり香港でおそらく蛇の生肝を食べたことが原因でSARSにかかったと言ってました。

14 名前:ぽー 投稿日:2004/09/04(土) 14:11:32
日本でも、昔はまたぎなど山の民も猿を食べることがあったと聞いてますが、
逆にプラネタリウムさんが、国内のそういう情報について知ってたら教えて下さい。
私は屋久島の人から、昔、食べたことがあるという話を聞いたことがあります。
あんまり美味しくないから、好んで食べようと思わなかったらしいですが、
一方で、猿は美味い(自分に近い種類の動物ほど美味い)という説もあります。
日本の場合、猿は、神の使いと考えて食べるのがタブーだったりして、
昔もあまり量的には食べてないんでしょうが、今では、食べる人は皆無なんでしょうか?

15 名前: a 投稿日:2004/09/04(土) 18:17:51
>>14
そうなんですよね。人間の肉に近い程美味いという事を私は食品関係の仕事を
立ち上げて成功した友人から聞きました。研究室レベルで成分(?)を調べて
いくとわかるとか。
病気は嫌ですが、ちょっと食してみたいです。

16 名前:s 投稿日:2004/09/05(日) 18:55:54
インドネシアのスマトラ島の近くにあるシベル島では、
猿を食べます。僕はツアーで1週間滞在して、
島の人たちと一緒に過ごしました。
狩りに一緒に出かけて、猿を弓で捕まえ、それを料理して
食べました。味はまーまーでした。

17 名前:エルヴィススズピー 投稿日:2004/09/05(日) 23:34:25
猿は2001年5月中旬にコンゴのキンシャサのレストランで食べたよ。
まだおいら生きてるんで大丈夫なんじゃない???
結構美味なり!!!

あまりの親切な反響に罪悪感を覚えたほどである。
この中でも

① ミャンマーと中国の国境の街「モンラー」
② タイ北部のPangmapha周辺の村
③ ペルーやボリビアのアマゾンに住んでいる人々
④ インドネシアのスマトラ島の近くにあるシベル島

以上の情報が全く新しい情報であった。
特に①の情報に惹かれた。
何故ならモンラーは中国とミャンマーの国境の街でミャンマー国内にあり、中国の法律が通用しないからだ。中国であって猿食いが違法でないのだ。
実際、中国側は雲南省であり、少数民族の村が集結する山深いエリア。広州と同じ、中国南部エリア。可能性を感じる。
国境マニアのshingoは国境の何でもありぶりが好きだった。
実際モンラーは中国人のためのカジノ、ゴルフ、売春宿が建ち並ぶ中国人のためのリゾートと化していた。
この街に関する情報が少なかったのも、モンラーへの道路が整備されたり、入国パーミション発行が緩くなったりしたのがここ近年だったからのようだ。
shingo自身リサーチすると、「猿」という情報こそ得られなかったが、モンラーでは中国の金持ちが「天然記念物」を食べている、という情報まで発見。
もしそれが本当だとすると、天然記念物があるくらいなら猿くらいあるのではないか・・
shingoは胸を膨らませた。


第一プライオリティーはモンラーに決定!
ミャンマーへはタイからの陸路入国になるので、タイにはどのみち行く。
モンラーがだめならタイ北部の②の村(場所&方法には不安があるが)というプランでこの夏はトライしよう!
( ③は広大過ぎて却下、④の情報は、上のプランで準備した後に読んだため見送った。)
広州とモンラー、二度の旅で出費はなんだかんだ20万円近い。
最初に「高過ぎる・・」と感じた四国情報と、出費は同じレベルにまで膨らんでいた。
できればこの旅で決めたい、そうshingoは願っていた。


第六部 めぐりあい宇宙

shingoはモンラーの街を歩いていた。
タイのメーサイから乗り合いタクシーで走ること一日、第四話で報告したステップさんとの一夜を経て、翌日いよいよ猿を食べることのできる店探しが始まった。
昨日、共に食事をした中国人に聞くチャンスもあった。しかしその円満な商談の場を、異様なリーベンレンの質問でブチ壊すことになるのではと懸念したshingoには聞けなかった。
果てしなくデカイ街ではない。このために来たんだ。この足で歩こう。
2~3時間を経た頃であろうか、食堂が並ぶ一角に、懐かしい文字が見えた。
野味 の文字だ!!
キタ。キている。間違いなくキている。猿だ。猿がキている!!!
店員にshingoは例のごとく紙を見せた。


※猿を食べたい、と書いてある。
店員はその紙をじっと見つめるとこちらに申し訳なさそうにメイヨーと答えた。
しかしそのメイヨーは広州の時のそれとは違うメイヨーだった。
広州の「あるわけないでしょ」的なメイヨーではなく、「今はないよ」的なメイヨーであったのだ。
そうか、そうだったのだ。
ツァイタン(「菜譜」。メニュー。)にあるレギュラーメニューではないのだ、猿は。
むしろ寿司屋で、「今日いいハマチが入ったんですよ、お客さん」的なシロモノなのだ。
shingoは妄想した。
「そう、猿、入ってるんだ?じゃ今日は、猿にしてもらおうかな。」
shingo1人のためにシメられる猿。出てくる大きな皿に盛られた数人前の料理。
猿を1匹殺してまで調理してもらった料理、残せない。
残したら、商売とはいえ、店のスタッフはいい気持ちはしないだろう。
しかし量が多いだけでなく、もしマズかったら・・

そんな妄想をしながらその店を後にすると、次の食堂が並ぶ路地には見渡す限りどこも「野味」の文字!
確実にキている・・猿がキている!!モンラーにモンキーはキている!!
一つ一つの店に紙を見せる。しかしどこもメイヨーである。どこも「今日はないねー」的な表情だ。
熊の手も普通にある。
野生動物の絵がガラスに描かれている店があり、虎がありそうな気配すらあった。
(先の干支である虎をここで食べようとしたが、その店はshingoが滞在期間中、テーブルはキレイなのに何故か無人であった。)

しまった、ハマチ感覚=運か。。
しかしこの街では確実に猿は食べられているという確信を強めるshingo。
滞在期間ギリギリまでこの街に滞在してやる・・

と思っていた矢先である。



ここモンラーでも広州と同じく、野生動物は野味料理店前のオリに入れられていたのだが、その店「宏發海鮮餐廳」では、食堂とキッチンを繋ぐ通路奥で飛び跳ねる黒い影の生き物があった。
あれは鳥ではないぞ!?もしや・・
高鳴る胸を押さえ、その店のおばちゃんに紙を見せる。
すると、何と!「そこの席で待ってろ。」と、笑顔で客用スペースのイスに指を指すではないか!!
NOメイヨー、つまりアルヨーだ!!有るアルよーだ!!
おばちゃんに「キッチンを見せてくれ」の意で、店の奥を指差し、進むと、いた。

彼はいた。



ソンくん(2歳)←勝手に設定。(名前は、昨夜ホテルのTVで見たアニメ、ドラゴンボールの影響か。)
小猿である。
小さい。非常に小さい。ちんまい。
彼は店の奥にある格子状の扉に、首輪に繋がれた鎖の一方を繋がれていた。
そして動物的な本能であろうか
彼は遠い国からやってきたこの男に喰われると勘付いたのか
これまで静かだったのが急に猛烈に暴れ始めたのだ。
キーキー泣き喚きながら、襲い掛かってくるのではなく、部屋の隅に身を縮めて。
その猿の異様な暴れっぷりに、店のスタッフも皆驚いて見に来たほどだった。

shingoは「I miss you..」と呟いた。
彼を探すこと約1年。毎日彼のことを想い、そして世界を旅し、ここアジアの辺境でついにめぐり会った。
一目惚れだった。

こんな小猿、喰えるわけがない。
小さな目でこちらを一生懸命見つめている。
無理だ。
shingoは思った。というより、自分に言いきかせた。
食ってどうなる?食わないとどうなる?
食わないと、猿は死なない。
食うと、もしかしたら罪悪感に苛まれ、十字架を背負うかもしれない。「知らなくていいことはたくさんある。」世のダークサイドも好奇心の赴くまま見てきて自分の精神をすり減らしてきた男の口癖だった。


猿だから見逃すのはキレイごとの偽善かもしれない。
パック詰めの牛や豚や鶏の肉は食すshingo。
著名な美食家海原雄山先生は「人は人以外を殺生して食べなければ生きられない。人は生まれながらにして罪を背負っているのだ。だから食事の際は常に感謝せねばならない。」と言った。その意見を頼りに、猿を食べてもいいよな?と自分に言い聞かせていた。

しかし出会ってしまったのだ。メニューを見て座っていればいいわけではなかった。
出会ってしまった。 直接。間近に。
shingoが見逃したところでこの猿は明日誰かに食べられるかもしれない。
しかし単なるネタ年賀状のために、shingoが生殺与奪の権を有しているとは思えなかった。

shingoは本当は、いつの日からか猿を食うつもりなんて無かったのだ。
では何のため?
年賀状のためではなかった。
ネット上に真実は無かった。都市伝説に憤った。 知的好奇心が溢れた。自分の足で目で事実を確認したかった。
今でも世界のどこかで猿を食べることができるんだという事実を確認したかった。 冒険少年としての意地だった。
ソンくんに出会えた今、shingoは満足感に満たされていた。とても、清々しかった。

とまあ要するに、shingoはひよったのだった。

shingoは記念撮影をした。
彼とshingoの、出会いと別れの写真だった。
「今度生まれ変わったらオレたち、一緒になれるかな?」
ソンくんの喜びの涙か悲しみの涙か、
外に出ると辺りには雨が降り始めていた。
走れば何とかなるかな?
shingoは駆け出した。

jetはshingoのバックパックに潜り込んだ。


終劇

1 件のコメント:

  1. hickey 2004/11/11 16:40
    年賀状届きました、ありがとうございます。
    こんなに頑張ってたんですね・・・。
    来年は楽でよかったですね☆


    Minami 2004/11/14 14:53
    モンラーはサルを食べに行ってたんですね。
    2002年の時点だった、ミャンマーの中華料理屋で檻に入ったサルが普通に居たけど、SARS後に探すのは大変だったみたいですね。
    お疲れ様です。


    dg23 2004/11/16 17:23
    お疲れさまでした。来年は酉なので簡単、、、と思わず、今年以上に食べるのが大変な酉を探し出して食べてもらいたいです。がんばってください。


    six 2004/11/17 18:23
    いつも楽しく読ませていただきます。
    去年猿について質問してから、コメントが少なかった為、これは触れないほうがいいなと思い、勝手に気を使っていました。
    しかし、知らない間にこんなにもPOPライフを送り、野味のくだりなどから手に汗握る大スペクタクルを想像させました。まさしく動く一人マトリオロシカですね。メイドカフェリポートも楽しく読ませていただきました。これでサラリーマンとは思えないですね。


    ベストガG 2004/11/19 12:52
    shingo、今、後悔はしていないか?
    でも、申を食らう話は、遂行されたといってよいと思う。
    正直、読んでいて、わくわくした。そして、君の行動に賛同と
    敬意を表します。

    でも、食ってしまえばよかったのに(笑)。
    じゃぁ、まだあったら年賀状くれい☆


    sexy tokushima 2004/11/22 17:32
    はじめて読ませていただきました。やりますね。
    ちなみにネズミ年は是非「三泣」にチャレンジしてください。

    で、いつ仕事してるんですか?


    jet 2004/11/25 01:45
    みなさん、たくさんの感想ありがとうございます!これほど気合入ったのはもう書けないかなw

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