第一話 王将の阿修羅






~jetとは?~オニヤンマ。shingoとほぼ同時期に生まれる。親はいない。jet機に憧れて自ら命名。





部屋を飛んでおるとshingoは夕飯におでかけ。


ついて行く。


で、相も変わらず王将のよう。





王将はドンキホーテに似ていて好きだ。


ポップにカオスしている☆(大阪王将のことじゃないよ♪)


通常メニューの他に、


壁にはイレギュラーメニューがあったりして、店によって違うみたいでゆるい。


shingoはこてまろラーメンをorder。


これは壁に「2004年ラーメンに挑戦した一人の男がいた」とキャプっているシロモン。


(いやー、楽しい☆)





んなことはどうでもいいんだけど、とにかく王将で働いている者たちは猛者。


数々のオーダーを王将用語でやり取りし、聞き直している様子は皆無。


(一番お馴染みの例では「餃子1皿」が「イーガー コーテル」の、ア・レ・ね。)


皿も若手が洗ってるんじゃなくてベテランぽい人が洗ってる、その辺もjet的にはたまんない。





そんな猛者の中に、@新宿店。オーダー+レジを担当する阿修羅がいる。


とにかく速い。


そして太子レベルに同時に物事をこなす。(聖徳ね。)


右の客にソーハン(焼き飯)を出しながら左の客に「ご注文は?」と聞いた直後に


入り口から入ってきた客に「お持ち帰りですか?」と聞きながら後ろの客の皿を下げる有様だ。


「この女には勝てない」と、jetが同じように王将でバイトする図を妄想しながら悲嘆に暮れる。


と同時にこの女と結婚したくなる。


「確か」だからだ、何かが。





shingoが「この海老、何海老ですか?」と追加注文した中華飯にまつわる謎の質問をした際も、


顔はこちらを向きながら「山本ーっ」と後方に声を出し山本に海老情報を答えさせながら


出来上がったテンハン(天津飯)を左手で受け取り、


右手で空いた醤油の瓶に新しい醤油を詰める有様だ。もちろんshingoに笑顔を向けたまま。





そんな中、shingoの隣に座る太った男は、美味しんぼを読みながらソーハンにガンガンにコショウをかけていた。


美味しむつもりなのか。





阿修羅ガール





第二話 韓流のワナ(ストーリー)






※さて前回、質問のメールが来たためお答えするが、jet(私)はトンボである。


(人間には『オニヤンマ』という種として括られている。)


26年くらい前からshingoという男の上空を飛んでおる。





さて第二回。


土曜日にshingoの後について行くと、名古屋まで来てしまった。


名古屋はshingoの実家がある。





shingoは今回、目的を持って「帰名」した・・はずだった。


ペーパードライバー歴更新を止めるための『デスドライブ』(運転の練習)や、


医者になったばかりの高校時代の友人に急に慣れ慣れしくすることや、


「名古屋へつけ麺を伝道」というshingoの夢を先に越した名古屋大勝軒へのリサーチ、


名古屋club事情のリサーチ、


などなど多くのミッションがあった。





しかしながらそのミッションはすべて果たされずに終わった。


原因は韓流である。





shingoの母は、とにかくエンターテイメントにハマりやすい人物である。


shingoの母となってからも、TMネットワークに始まりaccessやKinKi Kidsなど


美形なスターにことごとく夢中になってきた。


そして今のニッポンで言わずもがなムーブメントとなっている韓流に現在は夢中になっていた。


shingoはそれをメールで聞いており、大久保の韓国エンタメコンテンツ屋で


お土産を購入していた。しかし彼もjetも韓流に全く興味は無かったのである。





はじまりは夕食後だった。


自然とお土産を渡し、冬ソナの話となった。そして「DVD観るか」と母に薦められた。


しかしながらshingoは周りの人間からストーリーを聞いていたし、


再放送を断片的に観ていたので「いいや」と断った。


すると、母は「じゃあこれは・・」という感じで、


春夏秋冬シリーズの(冬ソナはこの中の冬)


「秋の童話」を第一話から再生し始めたのである。


「はじめのほうだけ観てみてよ」と母に言われ、


「そんなに言うならはじめのほうだけ・・」と答えたshingo。


jet的にも、こちらを睨むこの家の飼い猫に注意しつつも、暇だったので観始めた。


主人公二人の子供時代3話分を「これはないだろー」とつっこみながらも


早い展開にそれなりに楽しんで観た。


しかしながら3話が終わったところで、全20話も観るのは辛いと、「でもこの辺で・・」とその場を離れるための言葉をshingoが言おうとしていた矢先である。


第4話で大人になったウンソ(ヒロイン)を演じる女優が登場したのだ。





ソン・ヘギョ(宋慧喬)


萌えた。


もうダメだった。


jet的には。もちろん動かなくなった様子から見て、shingoも同じ気持ちだっただろう。


※色々な家族関係が世にはあるが、非常に良好とはいえ、母に「この女優に萌えるぜ☆」と言えるshingoではなかった。





気付くとshingoの父は隣の部屋で就寝していた。


母は午前4時くらいまでは共に観ていたが、その後は眠っていた。


しかしjetもshingoも何と、全20話まで一気に観てしまったのだ!


徹夜嫌いのshingoに徹夜を可能にさせたのは何も「萌えエネルギー」だけではなかった。


最初はつっこみながら半ばバカにしていたjetもshingoも、


ストーリーの要所・要所でしっかり涙していったのであった。


「何という不覚!」と、涙を見られるのを避けながら。





連休の予定は大きく崩れ始めた。


観終わって寝て起きると、日曜はすでに夕方であった。


とそのタイミングで、どこぞに出かけていた母が帰宅した。


内心「ヤバイ」と思った。


その刹那、予感は的中。


今度は「夏の香り」という作品を再生し始めたのだ。


「観てはいけない!いけないんだ!」


shingoは心で呟いたに違いない。


しかし手遅れだった。螺旋階段は続いていた。





ソン・イェジン(孫芸珍)


萌えた。


もうダメだった。


jet的には。もちろん動かなくなった様子から見て、shingoも同じ気持ちだっただろう。


※色々な家族関係が世にはあるが、非常に良好とはいえ、母に「この女優に萌えるぜ☆」と言えるshingoではなかった。





気付くとまた観ているのはjetとshingoのみになっていた。


shingoの両親は居間でそのまま眠っていた。


午前4時頃、さすがに「四六時中映像を見続ける」という行為で頭痛がしてきた。


そこで全18話の3分の2のところで潔くshingoは席を立った。眠るために。jetもそうした。


しかしその時、戦慄した。


いつの間にか両親は起きて画面を観ていたのだ。


我々が寝室に戻った後も、両親はそのまま観続けたのである・・。





そして午前11時頃、我々が起きて居間に行くと、


今度は冬ソナを見始めている両親の姿があった。。





結局名古屋にいる間、韓国ドラマを観ただけの週末に終わった。


本日夕方東京に戻ったshingoが、「夏の香り」の続きをレンタルしたのは言うまでもない。





秋の童話 ~オータム・イン・マイ・ハート~ DVD-BOX


夏の香り DVD-BOX 1





第二話 韓流のワナ(解説)






何故韓国ドラマが日本人にウケるのか。


その理由は、よく言われることであるが、韓国ドラマで描かれる恋愛そのものが、


日本人の心の琴線を刺激するからに他ならない。





例えば「運命」という思想。


「人は皆、運命の相手と出会う」だとか、


「初恋の人と結婚に至るのが最も幸せなことである」だとか、そう信じられている。


例えば、愛情表現の描写。


ドラマの中では、キスシーンは1回くらいしかない。


愛情の表現はほとんどソフトな抱擁レベルだ。


恋人のいる者は、別の異性と何もなくともただ一晩一緒にいただけでも、その後で罪悪感に苛まれるのである。


(現在のリアル韓国社会では、そうではなくなりつつもあるが。)


例えば、登場人物。


理想の男性は誠実な王子様、理想の女性は貞淑な女性、として描かれる。


(このような恋愛の根底には、儒教やキリスト教の思想が流れている。)





このような恋愛は、共同体崩壊や無宗教のためモラルが無くなり、快楽主義が行くとこまで行っちゃってる現代社会日本では実現は難しい。


しかしながら考えてみると、我々日本人だって、小さな子供の頃は、そう信じていたはずなのだ。


藤子不二夫のマンガでも、宮崎駿のアニメでも、また少女漫画の世界でも。


だから我々日本人は、韓国ドラマに、ノスタルジーを感じながら、そこにユートピアを見るのではないだろうか。





夏休み、取ります。



明日から10月3日まで、jetはshingoにくっついて、


ミャンマーと中国の国境の街、モンラーに行って参ります。


いつまで経っても帰国しない際は、


「モンラーって街に行ったみたいですよ」、と


おまわりさん等に、恐縮ですがよろしくお伝えください。





第三話 詐欺というエンターテイメント






帰ってきました。


フロムサウスイーストエイジア。


今回から2・3回は旅ネタをお送りします。





以下、今回jetが感服したスペシャルエンターテイメントの詳細な記録である。


(記録的に無駄に細かく再現しているので読みにくいのはご了承を☆)





あれはshingoとミャンマーのモンラーからバンコクへ帰ってきて、南の島行き夜行バス出発までの間、映画でも観るかと、バンコクの渋谷、サイアムにいた時であった。





BTSサイアム駅周辺を歩いていたところ、一人のタイ人のおっさんが話しかけてきたのである。


「アー ユー ジャパニーズ?」


こういう場合、一応疑ってかかるのが旅先での基本である。


しかしながら今回の旅ではミャンマーでタイ人の金持ちおっさんにメシも宿もオゴられていたため、&ヒマだったため、話を聞いてみた。





おっさん(渡辺謙似)と連れの女性(安良城紅似)が言うにはこうだ。



おっさんの一人娘がタイ政府の奨学生に選ばれ日本の大学に来月から行くことになった。


なにぶん初めてだらけのことなので不安いっぱいである。


少し、日本のことを教えてくれないか。



shingoはミャンマーで世話になったタイ国の人間に恩を返せるかも、と「オッケイ」と答えた。






  • 謙 コギレイな紳士的な面長の男。40-50代。楽器を演奏する職。

  • 紅 かわいい顔した27歳女性。謙の姪。無職。コンピュータープログラマーになる勉強中。





アイスクリーム屋でアイスをご馳走になりながら話を聞く。



東大へ一年間だけ留学する一人娘のELENORは20歳で若いため、謙の妻は相当WORRYしているらしい。


first timeで分からないことだらけだが、例えば東京での住まい。


大学まで歩いて行ける物件はあるかと。安いか、と。



安いわけがない・・。


shingoはブルーになりながらだいたいの相場をバーツ換算して伝えると謙は黙った。


しかしshingoに話しかけた謙はラッキーだったと言えよう。


shingoはご存知の通り、東京の外人ハウスやドミトリー事情に詳しい。


shingoは、「徒歩は無理だが、ドミトリーならオススメをいくつか紹介できる」、と言った。


謙と紅に笑顔が溢れた。


また、ELENOR用にクレジットカードを作りたいが、「タイのこのカードで日本でキャッシング可能か」、とVISAカードを見せられた。


大丈夫と、shingoが言うと、「同じか」、と聞かれたため、shingoも自分のカードを見せて安心させた。





こんな感じで、いくつかの不安を解いていくと、謙がケータイを取り出した。


「紅の姉が日本語ができる」、と。


確かに紅は英語に問題は無かったが、謙もshingoも英語に問題があった。


なにしろ紅の姉は日本人の旦那がいたことがあり、日本語が流暢なのだそうだ。


(ちなみに一年で別れ、彼との間にできた子供を育てている。)


繋がった電話に出ると、笑えるくらい流暢な紅姉が出た。


shingoは夜にバンコクを発つため気乗りがしなかったが、


「今から遊びに来てください」とノリで飲まされてしまった。


ちなみにアイスはshingoだけが食していたが、後に謙も注文。


紅は「冷たいの苦手」と言いオーダーしなかったが、謙の残したアイスを何故か必死で食べていた。紅は笑顔が素敵であり、「ガールフレンドはいるのか」、ばかり聞いてきた。





紅が2台に乗車拒否された後、ようやく1台のタクシーを確保。


車内では謙が感謝を満面に表しながら、shingoに一方的に話し始めた。


ELENORの写真を見せながら、「大切な一人娘なんだ」、と力説した。


写真のELENORはかわいらしい娘さんだった。


「今日は何時までオッケイなんだ?shingoはいつ日本に帰るんだ?」と聞かれ答えた後、


「成田から東京大学は近いか?」と聞かれたため


「2時間はかかるよ」と答えると謙はまた頭を抱えた。


shingoが仕方なく、「では迎えに行くよ」と言うと、謙は喜んで、shingoの手帳の10月15日の欄に「ELE ARRIVAL」と書き込んだ。


また、謙は自分のケータイの番号(051410058)を紅に借りた紙に書いて、


「バンコクにまた戻って来たら一度電話ほしい」と言った。


電話番号の下に、娘の名前の綴りを念のため書き始め、さらにその下に謙の妻の名前LEONORと書いた。


shingoが「シミラーだ」と驚くと、助手席の紅がニコリとこちらを見、謙が「一人娘だからだ」と繰り返した。


「息子は3人だが、娘はELENORの1人だ」と。


逆にshingoも氏名・住所(郵便番号)・電話番号・仕事を聞かれたため、謙の手帳に記した。


ちなみに「タイは初めてか?」という質問の流れから、「shingoはどういった国をこれまで旅してきた?マレーシアは?」と聞いてきたため、shingoが答えると、謙は何故かその国名をいちいちメモっていた。





けっこーいい家のようである。門を開けると車が停められるスペースがあり、右手に入り口。


入ると、紅姉(ナンシー関似)が出迎えてくれた。


コーラを勧められるが遠慮して水をオーダー。






  • 関 体格太めで眼鏡をかけた30歳女性。日本語が流暢でユーモアもあるが目は死んでいる。





謙も紅も一瞬席を外したため、関と二人きりに。


初対面のこの人物との間を埋めるため、


shingo「謙の奥さんとELEは今いるんですか」


関「今この家に向かって帰ってくるとこよ」


shingo「そういえば謙はサイアムで何してたんすか」


関「おじさんはいつもブラブラしてるのよ」


などと質問してみた。


またしつこく「ガールフレンドはいるのか?」と聞かれたため


「いるよ」と答えると、


関「タイにはいるのか?」


shingo「いや、日本にいるから」


関「日本だけじゃなくタイにもいてもいいじゃない!」と大声で言われ、


(もしかして関は日本人に弄ばれたのか・・?)とブルーになるshingo。


そして第4のキャラクター(丹波哲郎似)が階段を下りてきた。






  • 丹波 謙の姉の旦那。眼鏡をかけたインテリ風。※謙は両親の一人息子で姉が3人いた。つまり謙の子供たちとは逆の兄弟構成である。





目がデカくて人懐こい。


お互い英語の会話で、ここまでコミニュケーションしやすい人物は初めてだった。


丹波「タイ人の家に来るのは初めてか?」


shingo「他の国ではけっこーありますが、タイでは言われてみれば初めてです」


丹波「beautiful!」


謙も紅も戻ってきた。


この春雨豚肉スープも丹波が作ったとのこと。


仕事を聞かれて、「レコードメーカー」と答えると、丹波に「じゃあ何か歌ってくれ」と言われ、「ええ?何ゆえ??」と答えると、関がウルフルズのバンザイを歌って助け船を出してくれたりと、和気藹々とした時間が流れた。


ちなみに謙は義兄さんである丹波のハイテンションにタジタジである。





shingoの仕事の話の後に、丹波の仕事の話へ。


「長いことホテルで働いている」


「クアラルンプールのホテルでは18年勤めた」


という流れで写真を見せられる。


全く知るよしもなかったが、「超有名だ」と自信満々だったため


一応「へぇー!!」な大げさリアクションをする偽善shingo。


「写真のこの階にあるカジノで働いていた」


「カジノのディーラーだ」


「今はポイペット(タイとカンボジアのボーダー)のカジノのディーラーだ」と。


ずっと黙っていた謙が「shingoはカンボジア行ったことある」とカットインしたが、


shingoはこれまた知らなかったので、丹波のプライド傷つけちゃマズイと


また一応「へぇー!!」な大げさリアクションをする偽善shingo。





「カジノは行ったことあるか」


「ギャンブルは好きか」


と聞かれ、はっきり言ってギャンブルは大嫌いだったが、


丹波のプライド傷つけちゃマズイと「やったことない」と婉曲に返す偽善shingo。


で流れは「カードゲームはするか?」と。「ポーカー・ブラックジャック・・」


shingoが「まあ、ごくたまに友達と」と答えると、丹波は



ブラックジャックには必ず勝てる方法がある



と言った。


shingoは全く興味がなかったため、


「今日は奥さん&娘さんと話しに来たため、今度ポイペットのカジノに行った時に教えて下さい」と言うと、


関が「おじさんはいま教えたいみたいよ」と言い、


丹波は「準備して来るぜ☆」といったん二階へ。





戻ってきた丹波と「shingoがタイ人の家に来るのがfirst timeなのは光栄だ」とか、


「shingoの100円ショップキャラクター腕時計と私の時計を交換しないか」とか、


(ちなみにそれは「メモリアルなしろものだから」と断った。)


再び和気藹々とした後、丹波と二階へ。


丹波に呼ばれ、関も二階へ。





ここで、



ん?これってもしやあの変化球?

とようやく気付いたshingo。

あの変化球とはマレーシアで有名なトランプ詐欺*1である。


金を取られるつもりは名古屋ケチ人間shingoには毛頭無かった。


逆に、NOと言えない日本人としてどこで「NO」と言い帰ろうか。





テーブルの上には典型的な緑のシートの上に、カード、チップ。


何も考えずに奥に座ろうとすると、丹波が「レディーファースト」と関を奥に座らせた。


軟禁*2キター Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)!!!

でまた「カジノに行ったことがあるか?」と丹波。


無いと答えるshingoに、わざわざ「金でチップを買って→ゲームして→チップを現金に戻せる」と説明。


しかも単純な英語なのに関がいちいち和訳。


しかも丹波もいちいちその都度「You understand?」と慎重。で、



カードゲームはスロットやルーレットと違い、LUCKではない、SKILLだ。


必ずカードゲームで勝つ方法、それは信頼できるディーラーと組むことだ。


あなたがかける金にはディーラーの金も含めておく。


勝てばあなたもディーラーもwinwinだ。



で、ディーラー丹波の腕自慢が始まった。


要は手品である。


典型的な、こちらが引いたカードを当てるタイプだ。


種は知らないが、この手の手品に飽き飽きしていたshingoは


引いたカードを当てられるたび「WAO!!」と驚いたフリ。


芸が一つ終わるたびに丹波は、


「アメリカやオーストラリアにはスゴ腕のディーラーがいるが、アジアでナンバー1はオレだ」と言ったり、


「ほとんどのディーラーが何らかの方法でカードにマークを付けるがオレは付けない」と言っていちいち別のトランプに変えたり、


「スメルや音で当てる。このカードからはあのスープの香りがした」と言ったり、


そしてそれをいちいち真剣にうさんくさい日本語に訳す関がいたりで、


jetもshingoも爆笑をこらえるのに必死であった。


3つほどの宴会芸を見せられた後で、


「You believe?」と来たのだが、shingoもいいかげんな男である。


「アイ ビリーブ!」「アイ トラスト!」と答えるのであった。


要はここまでの流れで丹波的には「つかみはオッケイ」ということであろう。





話は、ディーラー丹波と組んで、次回ポイペットのカジノで大勝しようという流れに。


丹波「カジノで使う金を全額わざわざ持ってくるのも何だろうが、カジノはカードも使えるぜ。VISAとか・・」



伏線キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ !!!!!


  • ELEへの振込みのためのVISAカード→shingoがVISA持ってるか謙は事前に確認→カジノでVISAカード→shingoのVISAカードから金をふんだくるつもり。





これだけじゃない。


たくさんのことが蘇り、気付く。



  • なるほど謙が「マレーシアに行ったことがあるか?」と聞いたのは「トランプ詐欺知っているか?」と聞いているのと同じだったのだ。

  • そういえばさっきの手品の一つの種、英語だから分からなかったが思い出したわ。

  • 謙はshingoがこれまで行った国を聞いて、逆に行ったことなくて知らない国を、家に着いて関にshingoを任せている間に丹波に報告→で、丹波は自分がクアラのディーラーという設定にした。カンボジアは丹波の認識ミスで、だから謙はカットインした。

  • 謙が紳士的、紅が男ウケ、関が日本人を安心させ、丹波がダマすというよくできたキャラクター。

  • アイスやスープや時計やコーラという物で釣る作戦。

  • 服も家も、金にこまってない風だが、紅がアイスをケチるというニセ金持ち。

  • 乗車拒否にあったのもそれなりの理由?

  • ていうかこいつらタイ人じゃなくマレーシア人?

  • 「一人娘」や「日本の物価は高い?」などで情に弱い日本人攻略。

  • わざわざshingoのジップコードまで聞く謙の細かい演技。

  • 「今日は何時までオッケイなんだ?shingoはいつ日本に帰るんだ?」→「何時までに金を巻き上げて、何日になればほとぼりが冷めるんだ?」

  • shingoの帰る日を聞いてから、ELE来日を15日に設定。

  • 「タイ初めてか?」と右も左も分からぬ人間か確認。

  • shingoの職を聞いてから、自分の職ディーラー話を始めた丹波の巧妙なトークの流れ。

  • 謙は妻と娘の名前を一字違いのアナグラムにしたり、子供を女1男3、自分の兄弟を女3男1のシンメトリーにするなど、芸が細かい。

  • 紅のプログラマー目指してる設定や、関の子供がいるという設定も、真実か虚構か曖昧などうでもいいくらいの芸の細かい設定。

  • 丹波が出てきてから急に謙が静かになったところを見て、詐欺の核心部分を演じる丹波がリーダー。


などなど。





そこまで考えて一つ浮かんだ懸念。


旅マニア&犯罪マニアのshingoが思い出す、トランプ詐欺のレアなケースで、睡眠薬というオプションがある場合だ。


随分楽しんだ。


しかし、スープに睡眠薬が入ってたとすると、胃での消化を計算すると、そろそろか。


なんて考えると心なしか身体が熱く感じる気がしてくる。緊張だろうが。





shingoは突如「帰ります」と席を立ち上がると、


丹波は「オッケイ」と言い、やはり追ってこなかった。軟禁だ。


急な出来事に、1階のソファでくつろいでいた謙は驚いていた。


無視して、ドア→門を開け、shingoは外へ出た。


そして通りを走っていたタクシーに飛び乗った。


窓から外を見ると、ゆるやかな歩調で謙が家から出てきていた。


笑顔で。頭の上で手を謝罪しているかのように合掌しながら。



認めやがった。

完全に有名なトランプ詐欺の類だった丹波や関を詐欺師だと気付いてもさして驚きはなかったが、あんだけ娘に関する細かい設定を聞かされ、なおかつ、大東亜共栄圏構想&ドミトリーマニアとして会社一日休んででもELEを成田まで迎えに行こうか、とタクシーの中で考えもしたshingoにとって、その謙のあっさり認めは衝撃的であった。





その後、聞いた話によると、マレーシアだけでなくこのパターンはタイでもここ数年かなりの数の被害が起きているそうだ。4日前も日本人の女のコがだまされたという。女のコの場合は、来日するのが息子(男)であるというパターンなのだそうだ。犯人グループはシンガポール人、マレーシア人が多いが、タイ人が行うケースもあるという。ていうか地球の歩き方にも載ってるね。jetとshingoが知らなかっただけだった。





それにしても、怒りはもちろんあったが、


感服した。


shingo1人のために個性溢れる4人がそれぞれの珠玉の演技。


もしかしたらjetやshingoには分からぬ母国語で、


「お前セリフ飛ばすなや」とか言ってたかもしれない。


何てエンターテイメントを堪能できたのだろうと思う。


「beautiful!」




*1:クアラで声をかけられた旅行者がそのマレーシア人宅に行くと、ブラックジャックに勝つイカサマを教えられる。そこにやってきた第三者とゲームをし、イカサマのため勝ちまくるが、あれよあれよと賭け金がデカくなっていき、最後のゲームでイカサマが通用せずに負け、大金をむしりとられる詐欺のこと。


*2:必ずこの詐欺ではその状態自体が罪にならぬよう、「監禁」ではなく「軟禁」状態におかれる。





第四話 大和撫子を救った男






jetです☆


今回は先日の旅の途中、一人の男が大和撫子を救ったエピソードを報告します。





国境で出会ったタイ人のおっさん、ステップさん(51)と乗り合いタクシーで同じ目的地「モンラー」に向かう車中、ステップさんはshingoに言った。



モンラーで君に見せたいものがある。






ステップさんは、材木の輸出をビジネスにしている会社の社長である。


気持ちいいお金持ち特有の心意気で、モンラーまでの途中休憩でも、shingoはさんざん食事をご馳走になっていたが、そういう流れで「モンラーでの宿泊も気にするな、オレの部屋泊まっていけ」という展開になっていった。





ホテルにチェックイン後、荷物を置くとすぐにステップさんは商談を兼ねた中国人とのディナーへ。shingoも誘われたので共に食事をす。





その帰り道。


街角には膨大な人数の娼婦が溢れかえっていた。


ステップさんはその方向を指差して、言った。



チャイニーズガール イズ ビューティフル!






見せたいものってこれだったのかー。。ちょっとがっかりするshingo。


モンラーとはミャンマーと中国の国境の街である。


ミャンマー側であるにも関わらず、豪華ホテル、ゴルフ場、カジノが立ち並ぶ、中国人のためのリゾートと化している不思議な街だ。


当然夜は夜で、中国人のための歓楽街と化すのである。





ホテルに戻るとステップさんはまた商談のため出て行った。


夜である。そして外は雨季による雨。そして他人の部屋。


実にヒマである。


仕方ない、テレビでも見るか。


チャンネルを回すが、すべて中国の番組である。


とその時であった!shingoの手が止まった。そして呟いた。


「やられた!」


画面に映し出されたのはアダルトチャンネルであった。非常に画像が荒い。


そして聞こえてくるのは日本語、そうつまり日本のアダルトビデオを流しているのである。





shingoはかねてからこの構想があった。


日本のアダルトコンテンツの専門チャンネルをアジアでつくりたいと考えていたのだ。


違法な形ではなく、日本のメーカーから正式に受託する形で。


これは儲かるビジネスだ!そう確信していた。


しかしである!これは何だ。無断使用なのか、それともまさか正規に・・?


早く始めとけば!いや、たくさんの人が思いつくよな、こんなこと。。


などと悶々としていると、ステップさんが帰ってきた音。





shingoはすかさずテレビを消し、リモコンを元の場所に戻すと、ベッドで寝たふりをした。


ステップさんが「アー ユー スリーピー?」と聞くと


shingoは眠たそうな顔をして「イエス・・」と答えた。


このうそつき!





ステップさんは



君に見せたいものがある。



と言った。


まさか・・





そのまさかであった。


ステップさんが見せたかったのは街角の娼婦ではなくこのチャンネルだったのであった。


さすがにこんなお下劣チャンネルはタイには無いということなのであろうか。


shingoとステップさん、外ではお互いよく話していたのに、部屋では変に気まずいのか両者口数が少ない。無言で画面を見つめている。


それにしてもshingo(26)はいったい何をしているのだろうか。


こんなミャンマーの端まで来て、その日に会った見知らぬおっさん(51)とホテルでアダルトビデオを見ている。


まるで援交である。


shingoが生まれる前、shingoの両親が訪れた占い師の水晶玉に、こんなシュールな息子の未来は映っていたのだろうか。





jetがこんな妄想に耽る中、日本のアダルトコンテンツを外国へ!と考えていた男は全く逆の考えを始めていた。


それはステップさんの登場がきっかけである。


(ステップさんはこの日本人女性を見ていったい何を思うのだろうか、


このままではますます大和撫子は外国人男性にナメられてしまうのではないだろうか、


許せない・・許せないぜ・・)とshingoは悶々とし始めていたのだ。


何とも身勝手な男である。





そんなshingoの様子を見て気にしてか、ステップさんはshingoに「ユー エンジョイ?」と聞いた。


shingoはこの親切なおっさんを一瞬でも不安にさせてしまったことを後悔し、笑顔で「イエス!」と答えた。


するとステップさんは画面を指差して、言った。



チャイニーズガール イズ ビューティフル!










部屋に金田一少年バリのエクスクラメーションマークが登場した。


そうなのだ、ステップさんは中国語も日本語も分からないのだ。


つまり中国人と日本人の違いが分からなかったのだ!





すかさずshingoはステップさんにはっきりと



イエス!



と言った。


shingoはこの画面の女性たちを中国人であることにしたのだ!





そして余談的にshingoは続けて



バット、ジャパニーズガール イズ モア ビューティフル!



と言った。





するとステップさんは



アイ スィンク ソー☆



と答えたのである!





キタ━*・゜゜・*:.。..。.:*・゜(゜∀゜)゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*━!!!!!


大和撫子イメージは守られておる!





こうして大和撫子はshingoの勇気あるアクションにより救われた。


このことを、日本に住む彼女たちはまだ誰も知らない・・





ブログ移転に失敗



こんばんわ!


jetです☆





はてなダイアリーはフォントサイズを変えたり


一つの記事で写真を複数掲載できないため


ヤプログにこっそり引越し作業を進めておりましたが、


第三話の移植が文字数の関係で前編・後編にしても入りきらなかったので


浮気は断念しました。





というわけで、最近ご無沙汰でしたが


ちゃんとこちらで更新していきます。


(上の条件満たすブログサイトがあれば教えて下さい☆)


引き続きよろしくです。